リテンション候補者の抽出と最適な施策の提案
  • 更新:2023.02.13
  • 投稿:2022.11.25

リテンション候補者の抽出と最適な施策の提案

概要

リテンション候補者の抽出・改善検討ができるモデルを構築

 企業の雇用問題の1つとして、従業員の定着(リテンション)があります。育成後の人材の流出は、人材に投資した企業にとって大きな損失につながるため、リテンションの必要な社員を把握しそれを未然に防ぐことができれば、人材面から経営に大きく貢献することが可能になります。当社では、蓄積した人事データとAIによる解析技術を基に、独自のリテンション候補者の抽出モデルを開発し、リテンション策の実行に取り組んでいます。2015年から運用を続け、予測の精度向上とリテンションの成功例が確認できています。

取り組み内容

800項目のデータを用いたリテンションプログラムを構築

 人材に紐づく約800項目のデータ群の中から、過去の退職者の傾向を解析し、在籍者の中でリテンションが必要な人材(以降「リテンション候補者」)を抽出するモデルを構築しています。分析手法としては、決定木分析、ロジスティクス回帰分析、判別分析の3つの手法での予測結果を統合し、「教師あり学習アルゴリズム」の機械学習で算出しています。
 構築したモデルではリテンションの必要性を計算するだけでなく、その対象者に効果のあるリテンション策も同時に検討できる設計にしています。具体的には、異動や関係性など人事施策として変化し得る項目を多く活用することで、どのような施策を実行するとどの程度効果がありそうかが定量的に算出できます。

リテンション施策のイメージイラスト

検証結果

予測精度の継続的向上とリテンション事例を創出

 まず、リテンション候補者の抽出精度を検証しています。構築したモデルでは、在籍者のリテンション必要度を元にランク付けをしています。精度の検証として、抽出を行ってから1年後の実際の退職者を集計し、モデルの精度を検証しています。運用を続けながら「機械学習の導入」や「予測因子の大幅拡充」への対応など、退職予測モデルの精度向上に取り組んでいます[1]。

1:モデルで抽出した50人の実際の1年間の退職率(実績値)
  2015年8月 22%
  2016年2月 26%(機械学習を導入)
  2016年8月 48%(予測因子を大幅拡充)
  ※全体の退職率は10%程度

 また、現在では一定精度でリテンション候補者が抽出できるため、結果に基づいたリテンション策を講じる取り組みを行っています。各社員ごとにどの要素がリテンション策として効果的か、またそのリテンション策を実施した場合、どの程度リテンション効果があるかも定量的に算出し、人材マネジメントに役立てています[2]。

2:リテンションを目的とした人事異動を通じて、リテンション候補者8名のリテンションに成功(2016年実績)

関連情報

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