科学的オンボーディング
  • 更新:2023.02.13
  • 投稿:2022.11.25

科学的オンボーディング

概要

入社者と職場の特性に基づく適応方法の個別指南

 新入社員の早期戦力化は組織のパフォーマンスを上げる上でも重要な課題ですが、早期戦力化にあたって重要な要素となってくる環境への適応は、本人の個性と配属された職場の特性によって異なります。同じ仕事、同じチームメンバーであっても、新入社員の個性が異なれば環境適応の方法は全く変わってくるため、100人いれば100通りの本人と配属先の特性にマッチした育成プランが求められます。また、それぞれの育成プランの進捗を定量的に検証し、早期にPDCAを回し、適宜補正を加えていくことも、新人の早期戦力化を実現する上では重要な要素となります。  
 このような課題を解決するため、セプテーニGrでは人事データの解析に基づいた新入社員の環境適応プログラムを開発し、新入社員の早期戦力化の促進に活用しています。

取り組み内容

チームと仕事との関係性を可視化し、必要な対策を進捗に応じて提案

 株式会社ヒューマンロジック研究所に協力を得て開発したアルゴリズムをもとに、配属先の「チームメンバー」と「仕事内容」、新入社員の「個性因子」をそれぞれ定量化し、配属先と新入社員の相性を評価しています。このデータをもとに、チームメンバーとの人間関係の構築方法や配属先の仕事内容への適切なアプローチの方法等を、個別のアドバイスとして本人と上長にフィードバックしています。また、その環境適応プランの進捗状況をオンボーディング専用のサーベイを用いて定期的に評価し、新入社員や環境に対する補正を早期に施すことで、データを元にしたPDCAを回し、新入社員の環境適応の質とスピードを早めています。

個別の環境適応プランのイメージイラスト

検証結果

実施部門の新入社員の戦力化レートが向上

 上述の施策の効果を検証するために、取り組みを開始した2016年において、科学的オンボーディングを提供した社員としなかった社員の360度評価スコアを比較するA/Bテストを実施しました。(当社では1年目のスコアが一定の数値を超える社員のことを「早期戦力化人材」として定義しています[1])。
 検証結果としては、科学的オンボーディングを提供した社員の「早期戦力化人材」レートは、そうでない社員グループを10ポイント上回ることが確認できました[2]。社員の個性と環境との相性を考慮した育成と、適応度合を確認しながら環境のチューニング(異動やトレーナー変更等)を繰り返すことで、早期戦力化のレートが改善されたと考察しています。

1:3年間在籍した09~13年卒(N:187)のデータにおいて、1年目の平均スコアが「2.5」以上だった人材の約80%が3年目に戦力化していた(「2.5」未満ではその半分レートの約40%に低下する)ため、1年目の平均スコアが「2.5」以上の人材を早期戦力化と定義

2:営業部門・スタッフ部門に配属された2016年卒社員(N:64)のうち、科学的オンボーディングを提供した社員(N:26)と提供していない社員(N:38)の入社1年後における「戦力化人材(c)」 の出現率を比較した。同施策を実施したグループの「早期戦力化人材」レートは85%、実施していない社員グループの同レートは74%だった。

関連情報

📄 セプテーニグループ デジタルHRガイドライン
個人情報の取得と利用目的

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